揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
そのうち、上からどんどんと人が降りて来始めた。


「真吾君、マジカッコいいんだけどぉ」


「でも、今日は諒斗君のが良くない?ブザービートだよっ、ブザービートっ。ドラマみたいじゃんっ」


そんな声が、頭の上を通り過ぎていく。


ちょっと…複雑かも。

今日の諒斗は、何だか遠い存在に感じて。


みんなのアイドルの矢島諒斗。


彼女がいるって分かってからは、普通に友達として接してきた。

ちゃんと割り切ってつき合ってこれたのは、きっと私の想いがそこまでだったから。


おかげで、それからは一番の男友達。


程なくして、応援団がまだ帰りきらないうちに諒斗は高崎君を連れて現れた。


そうなるともちろん……。


「キャー、真吾君っ!」


「諒斗君っ!」


って、案の定見つかってるし。

しかも、群がる応援団をかき分けて2人は私の所にやって来る。


し、視線が痛いんですけど……。


なるべく周りを見ないようにして、とりあえず2人に声を掛けた。


「お疲れ様。勝って良かったね、おめでと」


「いや、あんなの楽勝だし。相手が弱すぎるっつぅの」


諒斗のそれは、大袈裟でも何でもなくて。


相手が弱すぎるっていうか、うちの学校が強すぎるんじゃないかなって思えるぐらいだった。
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