揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「何の用事だよ?」


不機嫌そうに、諒斗が尋ねてくる。


「いや…その、弟が試合で……」


その答えに、2人は驚いていた。


「弟?あの小学生の?」


諒斗は、克也の存在を知っている。

でも、会ったのは随分と前だったんだけど。


覚えてたんだ……。


「そ、そうそうっ。6年生になったんだけど、今日野球の試合でっ」


慌てて、説明した。

でも、弟の野球の試合なんてみんな観に行ったりするのかな?


そんな私の疑問に答えるように、今度は高崎君に言われてしまった。


「弟の試合観に行くなんて、えらいね」


思わず、チクリと良心が痛んだ。


全然えらくないんだよ、私……。


「でも、昨日そんな事言ってなかったじゃん」


確かに、昨日諒斗に訊かれた時は暇だって答えた気がする。


「家に帰ってから聞いたから……。ホント、ごめんね」


「でも、先に約束したのこっちだろ?」


「そりゃそうだけど……」


そう言われたら、それ以上強く言えなくて。

どう言ったら許してくれるかなぁ、と考えていたら。


「じゃあ、明日は?」


って、高崎君が優しく訊いてきてくれた。
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