揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
久しぶりの小学校だった。


卒業したのはほんの5年前だけど、何だか遠い昔のように思えてきて。

校舎とか遊具とか、こんなんだったっけ?って、つい考えてしまう。


6年も通ってたのにね。


グラウンドを覗くと、50人ぐらいの男の子達が野球のユニフォームに身を包んで2列に並んで走っていた。

だんだん小さくなっていくから、6年生が先頭なんだろう。


克也は前から3番目を走っていた。

背が高いから、こういう時は見つけやすくて助かる。


私は、ぶんぶんっと克也に向けてグローブを振ってみせた。


おいっ、気付けっ。

バカ克っ!


すると、克也の隣を走ってる子が気付いたようで、アイツを肘でつついてくれた。

おかげで、克也も私に気付いて小さく手を振ってきた。


ランニング終わったら、取りに来るかな?


とりあえず、そばにあったブランコに腰を下ろした。


ブランコに最後に乗ったのって、いつだっけ?

もう、ずっと乗ってないかも。


小学校を卒業した時に、こういうのも卒業しちゃってたのかな。


久しぶりに、揺らしてみた。

心地よい揺れと同時に、優しい風を感じる。


それが嬉しくて、自然と笑みがこぼれた。


そんなにやけた顔をしていた時、ふと目が合ってしまった。


さっき、克也をつついてくれた子だ。

ランニングをしながら、こっちを見ている。
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