揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
そして、次の瞬間。


歓声が湧いたのと同時に、大翔君が急に立ち上がった。

その視線の先を追うと、公輝君の打球がセンター方向に飛んでいるところで。


やった!いけっ、抜けろっっ!!


心の中で叫ぶ。


これが抜ければ、克也が戻って来て同点。

そうしたら、いよいよ大翔君の出番がくるっ。


そう思ってチラ見した彼の横顔は、表情が動いていなかった。

不思議に思って、慌ててグランドに目を向けてみる。


……相手チームの外野手が、抱き合って喜んでいた。

そのうちの一人の青いグローブに、しっかりとおさまっている白球。


アウト…だったの?


「あーあ」


みんなの落胆の声が響いた。

ベンチも、応援団も。


途中までダッシュしていた克也は、ホームの手前で立ち止まってしまっていた。

バッターの公輝君もがっくりと肩を落とし、バットを持ちながらベンチにゆっくりと戻って来る。
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