揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
私は、大翔君に自分の番号を伝えた。

聞きながら、彼は器用にボタンを押していく。


克也は携帯持ってないけど、イマドキの小学生はやっぱ持ってるんだね。


そんな風に眺めていたら、どこかで私のいつもの着信音が聴こえてきた。

某アイドルグループの最新曲。


ミーハーだって思われたかもっ。


慌てて、音のしている所を探った。


もう少し門に近い所の、茂みの中。

手を突っ込むと、そこに手ごたえを感じた。


「あったぁ!」


取り出したのは、確かに私の赤い携帯。


よかったぁ……。

ホント、見つかってほっとした。


私の言葉で、大翔君は電話を切って呼出音を止めた。

安心したようにニコッと笑うと、バッグの中にまた携帯をしまう。


「あ、あのっ、その…ありがとね」


ちゃんとお礼が言いたいのに、うまく言葉に出来なかった。

相手は小学生なのに、全然余裕の無い自分がいる。


「見つかって良かったですね」


そう言って微笑んでくれた大翔君は、やっぱり素敵だと思った。

わたしなんかより全然大人な小学生。


この胸のときめきは、やっぱり治まりそうにないよ……。
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