揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
真新しい恋-side大翔-

chapter7

『おやすみ』


そう言って、克也の姉さんは電話を切った。

俺も、ゆっくりと携帯の通話を切る。


「誰から?随分と楽しそうだったけど」


俺の部屋のドアを勝手に開け、少し怒ったような顔で…あの人は尋ねてきた。


「いちいち報告しなくちゃいけないの?母さんに」


溜息混じりにそう返すと、


「家では『まどか』って呼ぶ約束でしょ?」


まどかさんは、ゆっくりと俺に近付いて来た。


まだ27歳の彼女は、美しさの中に妖しい魅力を持っている。


「大事な息子の事は、ちゃんと把握しとかないとね」


そう言って微笑みながら、俺の顎に手を掛けてくる。

いつもの事なので、俺もあえて抵抗はしない。


「克也の姉さんからだよ。間違い電話だったんだ」


そう答えると、彼女は俺に近付けていた顔をピタッと止めた。


「克也君のお姉さんって、昼間学校で会った高校生?携帯なくしたっていう」


「そう。俺が探す時に鳴らしてやったから、間違えてその番号かけたみたいでさ」


隠すことなく、俺はありのままに答えた。

だけど、まどかさんは何やら不服顔で俺を見てくる。


「あの子って、誰かに似てるわね?」


そう言って彼女は、俺の机の上の写真立てに目をやった。

思わず、ドキッとしてしまう。


「そんな事ないよ。別に…似てないし」


少し目をそらして、そう答える。

それは…俺も思っていた事だから。


あの人は、確かに似てる。

初めて学校で見た時から、俺もそう思っていたんだ。
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