揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「大翔が何?」


自分に突っ込んでいた私に、克也が不思議そうに尋ねてきた。


「あ、ううん。何か勘違いしてたみたい。ほらっ、練習戻りな」


手で、しっしっと克也を追いたてると。

アイツは、納得いかないといった顔で渋々戻って行った。


大翔君か……。


何でだろう?

名前を思っただけで、胸がキュンとする。


私は、その大翔君に視線を向けてみた。

グローブを手にはめながら、友達と何やら楽しそうに話をしている。


その様子は、普通の小学生って感じで。

別に他の子達と大して変わらない。


だけど、さっき目が合った時の表情。

あれは、すごく大人っぽくて。


思わず、見とれてしまったんだ。


あぁっ、何やってんだ?私。

帰ろ、帰ろ。


邪念を振り払うように頭を何度も横に振り。

ゆっくりとブランコから降りた。


最後に…もう一回。


私は、ちらっと大翔君に視線を向けた。

すると、何故だか彼も私を見ていて……。


もう、目が離せなかった。


さっきと同じ、大人っぽくてどこか淋しげな眼差し。

相手が小学生だって事を忘れちゃうぐらいの。


なんで…そんな目で私を見るの?


その淋しそうな目が、私の胸をギュッと締め付ける。

隣で手を振っていた克也に気付かないくらい、私は大翔君だけを見ていた。


5歳も年下の彼を……。
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