揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「大翔?」


いきなり背後から声を掛けられ、心底驚いて。

おそるおそる振り返ると、怪訝そうな梨香の姿があった。


「あぁ、おはよ」


とりあえず平静を装って、そう声を掛けてみた。


次の瞬間、由佳さんに気付かれてないかと慌てて改札に目を戻したけれど。

そこにはもう、2人の姿は無かった。


電車…乗っちゃったかな?


落ち込んでしまう自分に、自分自身驚いてしまう。

何で、こんなにショックを受けてるんだろう?と。


「こんなとこで何やってんの?」


「えっ?その……」


由佳さんを見ていただなんてもちろん言える訳もなく、俺は返答に困っていた。


すると、


「やだっ、もう時間じゃんっ。大翔、走るよっ」


と言ったかと思うと、梨香は慌てて駅の切符売り場に向かって走り出した。


助かった……。


ほっと胸を撫でおろしながら。

とりあえず、俺も梨香の後を追って走った。
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