揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「ねぇ、話聞いてる?大翔」


すっかり存在を忘れていた梨香が、俺に腕を絡ませてきた。

その瞬間、何故だか急に由佳さんがこっちを振り返った。


「あっ!!」


すごく驚いた顔で、俺を見ている。

ただでさえ大きい目を、更に大きくさせて。


そして、その視線はすぐに…俺らの腕へと向けられた。


しまった!


慌てて、俺は梨香の腕を振り払った。


「何?由佳の知り合い?」


右隣の彼氏の方が、俺を下から見上げてくる。

その見方が品定めされてるようで、正直ムカッときた。


「あれっ?この間の覗き?」


由佳さんに気付いた梨香が、失礼にもそう口にした。

覗きじゃないって、この間克也が言ってたのに。


しかも、本人に向かって……。


「覗き?」


そのせいで、反対側のイケメンが不思議そうに由佳さんを見ている。

もちろん、慌てて彼女は否定していた。


「違うの、違うのっっ。弟の練習をちょっとフェンスからの…見学してたら、そこの水沢っ…さんに見られてっ」


懸命に弁解してる由佳さんが何だかかわいくて、思わず笑ってしまった。


「あっ、笑ってる……」


それに気付いた彼女が悲しそうな顔をしたんで、俺も慌てて声を掛けた。


「いや、なんか由佳さんかわいいからっ」
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