揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
その時、映画の予告が始まるブザーが鳴り響き。

それと同時に、館内の照明がだんだんと薄暗くなっていった。


「邪魔して悪かったな」


諒斗って呼ばれたアイツは、軽く手を振って前を向いた。


「あの…ホント、ごめんね」


手を合わせて謝ると、由佳さんも前を向いてしまった。


その後ろ姿を眺めていたら。

彼氏じゃない方の奴が、じっとこっちを見ているのが視界に入ってきた。


「……何ですか?」


気になって、直接そう尋ねてみた。

爽やかな、いかにも女にモテそうなタイプの彼に。


由佳さん達のデートにくっついて来るなんて、この人は一体何なんだろうか?


「いや…別に」


そして、彼も前を向いてしまった。


何なんだよっ!?全く……。


それから程なくして、本編が始まった。


そんな中、俺は映画なんてほとんど見ていなくて。

周りが薄暗いのをいい事に、由佳さんの後ろ姿ばかり見ていた。


肩甲骨ぐらいまである、真っ直ぐな髪。

今は暗くて分からないけど、少し茶色がかった黒色で。


由佳さんは映画が始まると、ただただスクリーンだけを見ていた。

ポップコーンを食べるのも忘れて、一生懸命見ている。


そんな彼女を、2人はそれぞれさりげなくチラチラ見ていた。

ポップコーンを取りながら、くすって笑ってる。
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