揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
ぬくもりが欲しくて-side由佳-

chapter10

私がずっと観たいって言ってた、映画。


それを、諒斗はわざわざ選んでくれた。

っていうか、高崎君はそれでいいのかな?


駅の改札で諒斗を待ちながら、私はいろいろ考えていた。


昨日の2人は、確かにカッコ良かった気がする。

応援団ができるのも分かるかも。


だけど…好きとかじゃない気がするんだよね。

ときめいて、胸がキュンってなるわけじゃない。


私の胸を苦しくさせるのは、一人だけだから……。


「由佳!」


名前を呼ばれ、見ると諒斗が走って来るところで。

とりあえず、手を振ってみた。


こうやって待ち合わせしてるとデートみたいで、変に照れる。

って、諒斗相手にデートってあり得ないけど。


「おはよ」


「あぁ、待たせて悪りぃな」


そして、私達は切符を買って改札をくぐった。


「高崎君、あの映画でよかったの?」


ちょうど来た電車に乗り込み、空いていた席に並んで座る。


「あいつの事は気にしなくていいよ。お前と出かける事に意義があんだから」


そう言って、諒斗は笑った。


少女マンガが原作の恋愛映画だけど、いいのかなぁ?

そうだっ、そんな事より……。


「あのさ…諒斗」


「ん?」


言うなら、今しかなかった。

高崎君と会う前に、諒斗には言っておきたかったから。
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