揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「すごい人だね」


この駅で降りる人達は、とてもたくさんいて。

とりあえず、諒斗とはぐれないようにするのに必死だった。


改札を出ると、切符の自販機の前に高崎君はいた。


「おはよ」


笑顔で、そう挨拶してくれる。


「あ、お、おはよ」


なんか急に緊張してきて、挨拶がぎこちなくなってしまった。

私服姿の高崎君は、やっぱりカッコイイかもしれない。


諒斗にしても、モテて当然って感じで。

通り過ぎる人達の視線が、痛いぐらい刺さってくる。


長身のイケメン2人組。

そこに一緒にいる、あの冴えない女は何なの!?


そんな心の声が聞こえてしまう。

私も、別にいたくている訳じゃないんだよ……。


「さっ、早いとこ行こうぜ」


諒斗の声で、私達は歩き出した。


さっさと一人で歩いていくアイツの後ろを、私と高崎君が並んでついていく。

何か話さなきゃと思うけど、何を話していいのかが分からなくて。


「吉野さんの私服姿初めて見たけど、かわいいね」


困っていたら、急に高崎君にそう言われた。

っていうか、こんな恥ずかしい事言えちゃう人なんだ、彼って。


「あ、ありがと……。でも、高崎君のが私服姿イケてるよ」


これは、お世辞じゃなくて本心。

昨日の応援団の子達に見つかったら、間違いなく殺されるね、私。
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