揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
さっき買ったLサイズのポップコーンは、真ん中の私が持つ事にした。

キャラメル味と迷ったけど、男の子と食べるならやっぱり塩だよね。


「一人で全部食うなよ?由佳」


そんな失礼な事を言うのは、もちろん諒斗。

誰がこんなデカいの一人で食べるのよっ!


「ホント、失礼な奴っ」


くるっと体を高崎君の方に向け、諒斗がポップコーンを食べれないようにしてやった。


「じゃあ、諒斗の分も食っちゃおうか」


そう言って、高崎君はパクパク食べ始めた。

私も意地悪して、パクパク食べてやる。


「あっ、おいっ。俺にも食わせろよっ」


慌てて諒斗が手を伸ばしてきた。

なんか、そういうアイツがおかしくて笑ってしまった。


そんな時だったんだ、あの声を聞いたのは。


「ねぇ、話聞いてる?大翔」


後ろから聞こえた、聞き覚えのある声。


そして『大翔』という言葉に、私は無意識に反応していた。

だから、思わず振り向いてしまったんだ。


「あっ!!」


その振り返った先にいたのは…大翔君だった。


驚いた、どころの騒ぎじゃない。

ホントに、一瞬息ができなくて。


何でこんな所に!?

すごい偶然なんだけどっっ。


でも、水沢とデートか……。


しっかりと絡まれてる腕に、自然と目がいってしまった。

それに気付いたのか、慌てて大翔君は水沢の腕を振りほどいている。


やっぱ…知り合いに見られると、恥ずかしいんだろうな。

私が克也に言うとでも思ったのかな?
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