揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「何?由佳の知り合い?」


諒斗が、そう言って大翔君を見上げた。

その見方が品定めするみたいで、大翔君もちょっとムッとしてるのが分かる。


「あれっ?この間の覗き?」


私に気付いた水沢が、失礼にもそう言ってきた。

覗きじゃないって言ってるのに!


しかも、こんなみんなの前で……。


「覗き?」


案の定、高崎君が不思議そうに私に尋ねてくる。

慌てて、私は全力で否定した。


「違うの、違うのっっ。弟の練習をちょっとフェンスからの…見学してたら、そこの水沢っ…さんに見られてっ」


とりあえず誤解を解きたくて。

一生懸命に弁解していたら、どこかから笑い声が聞こえてきた。


「あっ、笑ってる……」


それは、よりにもよって大翔君で。

私に呆れて笑ってるんだと思うと、どうにも悲しくなってくる。


そんな私を見て悪いと思ったのか、慌てて彼は言葉を付けたした。


「いや、なんか由佳さんかわいいからっ」


一瞬、動けなくなってしまった。

だって、大翔君が私の事かわいいって言ってくれたんだから。


秘かに1人舞い上がっていたら、


「吉野さんは、小学生にもモテるんだね」


そう言って、高崎君はくすっと笑った。


その笑った顔は、やっぱりカッコ良くて。

ファンじゃなくても、たまらないかもしれない。
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