揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「いやっ、そんなモテるだなんてっ。そんなんじゃなくてっ……」


よく考えたら、モテるって言葉には大翔君が私を好きだって意味が含まれてるって事で。

慌てて高崎君にそう否定していたら、


「そうだよな、お子ちゃまだからガキにモテるんだよな、由佳は」


って、今度は諒斗が言い出した。


『ガキ』だなんて、何て事言うのよっ!?

しかも、モテてるわけじゃないからっ。


大翔君、何て思ってるだろう……?


ちらっと彼の顔を見ると、やっぱりムッとしてるようで。


ガキ扱いされた上に、私なんかを好きだと思われるなんてきっと嫌だよね。

水沢だっているんだしさ。


「さっきから聞いてるけど、何で大翔がそんなオバサン相手にしなきゃいけないの?彼女、私なんだけど」


その水沢が、とうとうキレ気味にそう言った。

『オバサン』ってのが引っ掛かるけど、確かにおっしゃる通り。


「イマドキの小学生は進んでんだなぁ。2人、つき合ってんだ」


面白そうに、諒斗が言い出した。

ホント、余計な事喋るんだからっ。


「やめなよっ、諒斗」


慌てて、諒斗の腕をつかんだ。


すると、予告開始のブザーが鳴り響き。

館内の照明も徐々に暗くなっていく。


「邪魔して悪かったな」


反省したのか、諒斗は軽く手を振ると、前を向いた。


「あの……、ホントごめんね」


とりあえず、手を合わせて謝ってみた。

許してくれるかは分からないけど。


何だか顔を見づらくて、私も前を向いてしまった。

だけど高崎君は、そのまま大翔君達を見ていたみたいで。


「……何ですか?」


少し不機嫌そうな大翔君の声が聞こえてきた。


うわぁ、やっぱ怒ってる……。


「いや…別に」


高崎君は、そう言って前を向いた。


何だったんだろう……?


気になりつつも、何だかバツが悪くて。

とりあえず、後ろを振り向けなかった。
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