揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
後ろに大翔君がいると思うと、すごく緊張してくるけど。

とにかく、流れている予告を見る事にした。


大翔君は、水沢とデートなんだよね。

腕も組んでたし……。


そう考えると、何だか胸がズキンと痛かった。

2人は恋人同士なんだって事を、改めて見せつけられた気がして。


諦めろって事かな?

神様が、往生際の悪い私に下した最後の警告なのかも。


とりあえず、2人の事を気にしない為に。

私は、始まった映画に集中した。


気が付けば、手に持っていたポップコーンも忘れてしまうぐらいに見入ってしまっていた。


キスシーンが結構激しいから、ドキドキしてきて。

変に意識してしまって、両隣を向けない。


みんなどういう顔して、こういうの見てるんだろう?

大翔君は……?


そう考えると勝手に顔が赤くなってきて、更にドキドキしてくる。


最後の方になると、主人公達の悲しい別れに自然と涙が出てきて。


慌てて鞄からハンカチを取り出し、涙を拭いた。

それでもどんどんと溢れてくるから、ハンカチが手放せなくなってしまった。


久しぶりに感動する映画に出会えて、私は大満足で。

エンドロールまでしっかりと観ると、照明が明るくなっていった。


「あぁー眠かったぁー」


そう言って背伸びをしているのは、諒斗。

まったく、この映画のどこが眠いんだかっ。


「っていうか、いつの間にポップコーン無いの!?」


人が映画に夢中になってたら、いつのまにかこの大きな入れ物が空になっていた。


「食べないと、眠くなりそうでさ」


高崎君も、そう言って笑ってる。


男の子って、こんなもんなのかなぁ?


まぁ、女の子向けの映画だもんね。
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