闇夜に笑まひの風花を
二章、裏切りの舞踏会
……っく、ひくっ……。

どこからだろう。
誰かが泣いてる声がする。
それから、途切れ途切れの唄が。

切ない声音。
そこに込められているのは切望。

泣きながら、それでも紡ぐのをやめないそれの原動力は、悲しみ。

切なく哀しい、唄。

__否、これは呪文。

高位の、それも禁術に繋がる呪。
それを紡ぐ唇は小さく、そして力は煙のように弱く、儚い。

あれでは術は完成しまい。

予想した通り、呪文の途中で術は弾け消えた。
呪を紡いでいた唇はわななき、絶望に泣き叫んだ。

過度な力の使いすぎで、しばらく身体を動かすこともできないだろうに、子供は泣く。
泣いて喚いて叫んで……子供の意識が途切れるまで、それは続いた。

ひどく切ない、悲しみの声。
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