闇夜に笑まひの風花を
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北の塔。
王直轄の敷地内とは言え、その使用用途によって敬遠される地。
人は滅多なことがなければ近寄らず、最凶悪犯の牢獄と雖も看守さえいない。
人に邪魔されず、人への影響も心配しなくても良い場所。
人に知られず、術を考案するには最適だった。
もともと、杏はこの塔で術の発明をしようと目をつけていた。
多少誤算があったが、望みは叶った。
唯一異なることといえば、立場が囚人であるということだけ。
ただ、それだけだった……。
それなのに、この胸に湧き上がるやるせなさと寂しさは何だろう?
たった独りで責任を取ると決めていたのに、どうして今更ひとりぼっちにされたような気分になるのだろう?
両親を始め、アミルダの呪術師がほとんど居ない今、私は独りなのに……。
どうして今更、心が弱くなるのだろう?
高い塔のてっぺん。
いつもより近い月。
それなのに、十三年前よりも小さな月。
それが、孤独と罪悪感を煽るからだろうか?
寂しい。
そんな台詞を口にするわけにはいかなくて、私はひたすら机に向かった。
北の塔。
王直轄の敷地内とは言え、その使用用途によって敬遠される地。
人は滅多なことがなければ近寄らず、最凶悪犯の牢獄と雖も看守さえいない。
人に邪魔されず、人への影響も心配しなくても良い場所。
人に知られず、術を考案するには最適だった。
もともと、杏はこの塔で術の発明をしようと目をつけていた。
多少誤算があったが、望みは叶った。
唯一異なることといえば、立場が囚人であるということだけ。
ただ、それだけだった……。
それなのに、この胸に湧き上がるやるせなさと寂しさは何だろう?
たった独りで責任を取ると決めていたのに、どうして今更ひとりぼっちにされたような気分になるのだろう?
両親を始め、アミルダの呪術師がほとんど居ない今、私は独りなのに……。
どうして今更、心が弱くなるのだろう?
高い塔のてっぺん。
いつもより近い月。
それなのに、十三年前よりも小さな月。
それが、孤独と罪悪感を煽るからだろうか?
寂しい。
そんな台詞を口にするわけにはいかなくて、私はひたすら机に向かった。