闇夜に笑まひの風花を
:白
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以前、大きな音と衝撃がこの地を揺るがしたことがあった。
天変地異というほどではない。
それを言うなら、十三年前の失敗の方が天変地異と呼ぶべきだろう。
闇が深まり、月が遠くなったのだから。
今から二十四年前の話だ。
これもまた、失敗が導いた惨事だった。
たくさんの人が死んだ。
十三年前よりもずっと多くの人が。
そして、彼もまた、大切な友を喪った。
「__チェイ……」
この世は、生きにくい。
力や才がなくても、ありすぎても、幸せを手に入れることは難しい。
友は才があるために亡くなった。
彼は力が及ばなかったために、共に死ぬことができなかった。
あのときの衝撃と憎しみを忘れることはない。
寝ても覚めても友のことしか考えられなかった。
涙はいつしか渇いてしまった。
彼にできる限りの精一杯を尽くして、蘇生も召喚も試してみた。
試してみようとした。
けれど、できなかった。
どれも。
限界を超えても。
血反吐を吐いても。
それでも、彼にはどうにもできなかった。
蘇生に関しては、術を完成させることもできなかった。
わずか六歳の少女にできたことさえも。
召喚にしても、力が足らなかった。
彼一人の力では。
やがて、彼は復讐に走った。
人を利用することを覚えた。
罪を被せることも厭わなかった。
良心をかなぐり捨てて、ただただ憎しみと悲しみに塗れて生きた。
すべては友のために。
否、自分の欲のために。
以前、大きな音と衝撃がこの地を揺るがしたことがあった。
天変地異というほどではない。
それを言うなら、十三年前の失敗の方が天変地異と呼ぶべきだろう。
闇が深まり、月が遠くなったのだから。
今から二十四年前の話だ。
これもまた、失敗が導いた惨事だった。
たくさんの人が死んだ。
十三年前よりもずっと多くの人が。
そして、彼もまた、大切な友を喪った。
「__チェイ……」
この世は、生きにくい。
力や才がなくても、ありすぎても、幸せを手に入れることは難しい。
友は才があるために亡くなった。
彼は力が及ばなかったために、共に死ぬことができなかった。
あのときの衝撃と憎しみを忘れることはない。
寝ても覚めても友のことしか考えられなかった。
涙はいつしか渇いてしまった。
彼にできる限りの精一杯を尽くして、蘇生も召喚も試してみた。
試してみようとした。
けれど、できなかった。
どれも。
限界を超えても。
血反吐を吐いても。
それでも、彼にはどうにもできなかった。
蘇生に関しては、術を完成させることもできなかった。
わずか六歳の少女にできたことさえも。
召喚にしても、力が足らなかった。
彼一人の力では。
やがて、彼は復讐に走った。
人を利用することを覚えた。
罪を被せることも厭わなかった。
良心をかなぐり捨てて、ただただ憎しみと悲しみに塗れて生きた。
すべては友のために。
否、自分の欲のために。