恋愛ざかり
引きずる想い
アノ事……
少し前、俺が本気で恋した女がいて、当然のように付き合っていた。
女の名前は那奈……
でも、那奈は交通事故に遭った。
信号無視した車が横断歩道を渡っていた那奈に突っ込んだ。
那奈は即死だった。
ふと、あの時を思い出した。
高1のクリスマス。
那奈と付き合い出して、7ヶ月目。
『優ー!はーやーくー!!映画始まっちゃうー!』
那奈は俺より先を歩いて、横断歩道の真ん中で俺の方を向いて、俺にそう叫んだ。
『わかったよ……まだ間に合うって……』
俺はダルそうに答えた。
那奈が俺の方に振り返り、笑った瞬間、那奈が俺の視界から消えた。
那奈が車にはねられた………
目の前で、大切な人を失った。
数メートル先に傷だらけで血まみれの那奈が倒れていた。
那奈の身体の下から、赤黒い液体が広がった。
俺は『那奈!』としか、叫ぶことができなかった。
周りで事故を見ていた人が救急車を呼んでくれたが、意味はなかった。
那奈は即死だったから……――――
俺は那奈の両親に頭を下げ続けた。
那奈の両親は『優さんは悪くないんだから、そんなこと……しなくても…』って、言ってくれた。
でも、俺は那奈を守れなかった。
一番近くにいたのに……――――
俺はしばらく女とは距離をとった。
また、大切な人を殺してしまうんじゃないか、って。
那奈の死は俺の心に深く傷を遺した(のこした)。