月を狩る者狩られる者
「あの男からもっと何か聞き出しておけば良かったな……」


あの男とは、朔夜の血を吸った吸血鬼のことだろう。


確かに、私を十六夜のところに連れ去ろうとした男だ。

十六夜のことを色々知ってただろうに……。


でも、あの男がどうなったかは分からない。

一応あの時の場所にも行ってみたけど、男の姿は無かった。


生きているのか死んでいるのかも分からないのに、居場所なんて分かるはずもないのだから情報も聞き出せるわけもない。



本当に、あの時もう少し聞き出せていればと後悔ばかり募(つの)った。


「仕方ない。ヤツがお前を狙っているのだとすれば、いずれ何かしら仕掛けて来るだろう。それまで待つしかない」


それ以外の方法はないのかちょっと考えて、やっぱりない事に気付き私は諦めのため息をついた。


「はあ……そうね……」
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