月を狩る者狩られる者
その端正な横顔を見て、私はため息を一つついた。

結局のところ、私はこうやってからかわれるのも嫌いじゃ無いってことなんだ。


ああ……私ってMだったのかなぁ……。


そして最後にまた諦めのため息をついた。




ふと視線を歩道の方に向けて、私は驚きで目を見開く。

私の視線がとらえた姿は、2週間前の例の吸血鬼だった。


「朔夜止めて!」

考えるより先にそう言った。


朔夜が「どうした?」と聞きながら車を横付けして止める。


気が焦ってたんだろうか。

私は朔夜にろくな返事もせず、すぐに車から降りて男の姿を追う。
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