月を狩る者狩られる者
「まだ、帰ってこない……」

私は唯一動かせる口で独り言を言った。



この部屋は最上階だから、下に降りるだけでも多少の時間がかかることは分かってる。

でもそろそろ帰ってきてもいいはずだ。



「これなら、何もいらないから側に居てって言えばよかった……」


互いに想いを通わせてまだ一日目だというのに、私は朔夜がいないと物凄く寂しく感じた。

いや、一日目だからこそなのかもしれないけど……。



「朔夜、早く帰ってこないかな……?」

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