月を狩る者狩られる者
今度は私の頬を舐めて頭を摺り寄せてきた。

「あは……くすぐったいよ」


すると朔夜もベッドの上に乗ってくる。

猫の居る方とは反対側に横になり、私の頬に手を当て視線を交わらせた。


「確かに、お前を好きだというところは似ているのかもしれないな」

そして、唇を合わせる。


体は動かせなくても、感触は分かる。


朔夜の柔らかい唇。

そして舌が私の唇を舐める。


私は朔夜を受け入れるために、目を閉じて唇を少し開いた。


でも、朔夜はそれ以上動かない。

どうしたんだろうと目蓋を開くと、朔夜の頬を猫が、てしっ…てしっ…と肉球で叩いていた。

< 238 / 421 >

この作品をシェア

pagetop