月を狩る者狩られる者
「とりあえず僕についてきてよ、望さん」

私が迷っていると、クレハは余裕の表情で言った。

私がそれに逆らえないことを知っている目。


私の考えてることなんて読まれてる……?


最初、そのあどけない表情が素直に可愛いと思った。

ついさっきのことだと言うのに、私はもうその笑顔を可愛いと思えない。


油断のならない子。

ついて来いというのも、きっと罠だろう。



でも、ついて行くしかないのよね……。


「……分かったわ……」

そう返事をして、私は歩き出したクレハの後を追った。
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