月を狩る者狩られる者
「私を……どうするつもりなの?」
怒りに任せて怒鳴ったりはしなかった。
そんなことは体力の無駄でしかないことは分かっていたし、何より感情の赴くまま怒鳴り散らすと肝心なことを聞き逃しかねない。
クレハは少しの間思案するように間を開けた後、ゆっくり口を開いた。
「……コトハ姉さんには殺せと言われていたんだ」
姉さん!?
姉弟なの!?
さらりと明かされた事実に秘かに驚く。
「でもね、僕は君に興味があったんだ」
「私、に……?」
私はクレハの意図を図りかねて思わず眉を寄せた。