【完】あたしが君を守るから
「美咲、譲さんにご挨拶は済んだの?」
凛とした声が聞こえた。
「お婆様...、すみません、挨拶もなしに...」
"お婆様"に促されて、美咲さんは譲さん、紀子さんにすまなそうに頭を下げた。
"お婆様"は、自然な白髪のない黒髪。
うっすらとあるものの、皺が刻まれていない綺麗な肌。
瞳も、鼻も、眉もパーツが整っていて、キリッとした顔立ち。
ただならぬ風格を感じる。
メモの内容を記憶しているはずだから、頭の中でパラパラと探す。
でも、それよりも先に
「誰、この人」
またもや気怠そうに、桐が呟いた。