【完】あたしが君を守るから
理玖が受け取り、静かに開いた。
「『これは警告だ。次はないと思え。』か...」
ざわめく会場。
誰一人として、重い口を開かない。
すると、
「大丈夫よ、気を落とさないで? 椎には歩ちゃんがいるの。だから、平気よ」
紀子さんがいつもより明るい声で、励ました。
あたしを見ているのかもしれない。
でも、あたしは紀子さんを見ることができなかった。
ううん。そんな資格、あたしにはない。
俯いて、唇を噛み締め、瞼を強く閉じる。
白い大理石の上に、透明の不揃いの雫が落ちた。