【完】あたしが君を守るから






振り解けない。




椎の力が強いけど、その手を振り解こうとする気持ちが足りない。





「ふっ...ンっ?!!」




突然重なった唇。




椎の柔らかい冷たい唇が、触れる。





すると、空いた隙間から暖かいものが滑り込んでくる。




「ンっ...んぁ...」




何とか防ごうと、椎の名前を呼ぼうとすると、おかしな声が漏れた。





触れるだけだったのに、どんどん濃厚になっていく。





慣れないあたしは、されるがままになっていく。




微かに目を開くと椎の真っ黒な試すような視線が、あたしに向けられていた。





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