【完】あたしが君を守るから
コーヒーのように微妙な茶髪。
触ると気持ちいいんだろうな。
じっと見つめていると、あたしの視線に気付いたのか目が合った。
木の幹みたいに深い茶色の瞳。
目尻の小さなホクロが静かに目立っている。
「...何? そんなに見つめて」
彼の顔に視線がいっていたから、口が動いたのがスローで伝わった。
「あ...。別に、何も...」
あたしの好きな色だったから、思わず見つめてたんだ。
変に思われちゃったよね...。
「藤堂歩」
急に名前を呼ばれて、彼を凝視する。
「姫宮椎のボディガードだよね。すごく有名な」
ただ淡々と話す彼。
表情なんか、何もない。
でも、少しイラついてるように見えるのは気のせい...?