【完】あたしが君を守るから
ピシッと背筋を伸ばして、待ち構える。
店員に誘導されて、誰かが来る。
個室部屋に入った瞬間、伏し目がちだった瞳が、俺たちを見つめる。
キリッとした顔立ちで、笑うと綺麗なんだろうな...。
まあ、今回は笑ってくれそうにもないけど。
彼女は、俺子供のときから知っている女性。
...宝来グループの総帥、宝来祥子さん。
彼女は、店員がイスを引き、そして静かに座った。
「どうぞ、お座りください」
透明感のある声で促される。