【完】あたしが君を守るから
不思議そうに見つめていた瞳が、まん丸になる。
ひんやりとした温度が、あたしの唇を通して感じる。
背伸びしていたつま先を、ゆっくりと地面に付ける。
椎は、驚いていて掴んでいた手を、手首から離すなんて簡単だった。
例えこれが最後でも、あたしが悔やむものはない。
最後に、彼の目の前で微笑むことができたんだから。
「歩...っ!!」
声を掛けようとした椎の鳩尾に強くパンチする。