【完】あたしが君を守るから
涙を拭いて、顔を上げる。
「それに、もう寒くなったってのに、アイスなんか食べて...」
さっきのバニラの香り。
普段、バニラの香りがするものを身につけていない椎。
だから、アイスを食べなければ、匂いがつくことはない。
それにあのアイスは、あたしが食べるために...。
「お腹減ったからさー。育ち盛りですので」
「お夕飯なら、酒井[サカイ]さんが作ってくれてたでしょ?」
「ニンジン、大っ嫌い」
開き直って、そっぽ向く。
確か今日はシチューだったから、ニンジンがごろごろ入ってた。
ほんっと、子供の頃からニンジン嫌いが治ってないんだから。