添い寝屋
こういう看板を出していると

とかく妙な奴がやって来る。


酔っぱらいだったり
冷やかしだったり



違う意味の男の客も来ることがあるから
こんな不躾な娘にも慣れている。




「お客さん、悪いけど今日は仕舞ったんで
また明日でも来てくれないかな?」



「…。」



娘はさらに聞こえない振りをしている。



「また雨がひどくなる。早く帰った方がいい」



「あんた…」








「あんた、なんてなまえ?」






チンプンカンプンな返答に



俺は思わず


「四季だけど。」


そう名乗ったとたん

娘は椅子に座り込んで眠ってしまった。
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