添い寝屋
眠りこけている娘の顔は
溶けかけたアイラインを取り除けば
ほんとに あどけない横顔だった。











『本気で寝てやがる・・・』


疲れてて追い返したかったはずなのに、捨て犬を拾った時のように
気持ちが動いた。






アイラインのほどけた目尻を
人差し指で



グイッと下げる



溶けたアイラインが『ぐにゅーっ』と下がって、矢印みたいになった。


「くくくっ・・・。福岡のせんべいみたいだな」





しばらく矢印を上に下へと動かして見たが、いっこうに起きる気配が無い


「おいっ。起きろっ」


肩を揺さぶると、娘は小さくうなずき
左のアイラインから
「スーッ」っと涙を一筋こぼした。











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