トマトときゅうり
送るというきゅうりの言葉に甘えることにして、また車に乗り込んだ。ワンピースの丈が短くて、座ると膝から上までするすると生地が下がってしまう。
変に意識して恥ずかしいから、クラッチバックで膝を隠す。
「・・・寒そうな格好」
きゅうりが見ていることに気付いて、顔が赤くなる。
「大丈夫です!」
「・・・今年もあと少し仕事あるんだ、体冷やして風邪ひかねーように管理しろよ」
後ろの座席に手を突っ込んで、茶色のブランケットを引っ張りだし、私に渡してくれた。
お礼を言うタイミングが少し遅れたけど、優しくされてびっくりしたからなんて言えない。
黙ってそのブランケットを膝の上にかける。
両足に感じる暖かさは、ブランケットだけが原因じゃないと思った。
それでも、スマートに車を出すきゅうりをみてガックリくる。
結構頑張ったお洒落なんだけどなあ~・・・うーん、あんまり反応がなくて残念。私ってそんなに色気ないかなあ・・。
さっきも腰抱いて貰ったけど、きゅうりは何てことないみたいだった。私は一人でワタワタして・・・もう、バカみたいじゃないの~。
あああ~、恥かしい。思い出したらまた赤面してしまう。落ち着かないと、私。
窓の外を流れていく夜景に目をやった。