トマトときゅうり
3、この手のひらで。

熟れたトマト。


 2次会も終わって、あとは正月が明けるまで用事と呼べる用事は全然ない暇な私は、興奮が冷めたのもあって、ぼけーっと毎日過ごしていた。

 朝起きて、身支度をしてご飯を食べ(遅刻寸前でも絶対ご飯は食べるべし)、出勤する。

 5時に退社し、スーパーに寄って食材を手にいれ、自分の為に自分の好きなご飯を作って食べる。たまに、ビールも飲む。テレビはあまりみない。本や雑誌を読んだり、何となくちょこちょこ掃除をしたりしていた。

 23日の祝日で、一日家に篭っていた夜、大阪に住む、実家のお母さんから電話有り。

『あんた正月帰ってくるんでしょ?いつにするの?』

 と聞くから、あ、そっか。それすらも考えてなかった。と思ったくらいにぼーっとしていた。

「・・・うーん・・ここに一人でいてもしょうがないし、ほな、帰ろうか・・」

 と答えると、何だその面倒臭そうな返事はと怒られた。

「28日まで会社あるし、電車まだ取ってないし・・・。31日かな。で、2日に戻るわ。4日から会社だし」

 はいはい、ならその用意をしときます、とお母さん。

 親と喋っているといつの間にか方言がそのまま出てくる。関西地方の柔らかいイントネーションに心が和む。

 明日のクリスマスは彼氏と過ごすん?と探りがきて、そんなんおらへんから、一人でケーキ食べる、と正直に言ったら、当たり前のように言わんと彼氏くらい作りなさい、情けない!とまた怒られた。部屋に連れ込むくらいのことは出来へんの!?と言われ、まじまじとケータイを見つめる。

 この赤面症の私が、アナタから生まれてきたとは到底思えないんですけど・・・。

 最近のことなどをべらべら話し、もう晩ご飯作るからと電話を切った。


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