トマトときゅうり


「好きです、とは言わないものなんですか?」

「言わない。好きだから、何だってのよ?欲しいか欲しくないかでしょうが。付き合いだして、少しずつ魅力を出して虜にするのよ、瀬川さん」

「・・・・大変、高等な技術ですね」

 そして、実に簡単に仰いますね、仲間事務長・・・。

「そんなことないわよ。抱かれてみて、ああ駄目だこの人はあわないと思ったら止めたらいいんだし。体の相性は絶対大事なのよ」

 ひょえー!なんてことを仲間さん!!

 真っ赤になって頬を押さえていたら、話していた仲間さんが言葉を切って、まじまじと見てきた。そして、にやりと笑った。

「・・・瀬川さん、まだ経験ないのね?」

「!!!」

「あらあら、卒倒しそうだわ~。やだ、楽しい~。そうか、経験のない娘さんに、気になる相手がいたらとにかく寝てみろ、とは言えないわね、いくら私でも」

 カラカラと楽しげに笑う。

 あの~・・・十分、言ってます、仲間さん。

 顔があっちっちで、喉までカラカラだった。

 あの津田さんが、この仲間さんを抱いてるところなんて想像出来ない・・・ああ・・これからは津田さんを見るたびに、イケナイ妄想で赤くなってしまいそうだわ・・・。

「で、一緒に寝て朝起きた時、彼の寝顔をみて思ったの。私、本気でこの人が好きなんだって。だから、今では私、あまり余裕がないのよね、彼のことになると」


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