トマトときゅうり


 ケラケラと笑う姿まで綺麗だった。本気で好きだと言ったときの仲間さんは、瞳が潤んでいて可愛かった。

 このやり手の女性をここまでトロトロにするんだ・・・。恋って、凄い。

 喉を潤しに、仲間さんに断って冷たい飲み物を買いに行く。

 ビルの1階に自販機があっるのだ。そこでビタミンドリンクを買っていたら、頭に何かが置かれた。

「どうしたんだ、また熟れ熟れトマトになってるぞ」

 見上げると、きゅうりが立っていた。

 うわあ。このタイミングで!更に赤くなるじゃん!

「・・・・お、お疲れ様です。雑誌で頭叩くのやめてください」

 もごもごと何とか言った。

 にやりと笑って、私の頭から雑誌をどける。

「朝から真っ赤だな。誰に何言われたんだ?」

 冷たいドリンクを一口のんで、気を落ち着かせる。あー、いつでも真っ赤なの、本当にどうにかならないかな。

 熟れ熟れトマトって・・・なんつーこと言うんだ、この男は。

 もう一口飲んでから、私はため息をついた。

「今日、仲間さんがあまりに綺麗なので、デートですかって聞いたら、彼氏との話を聞かせてくれたんですけど・・・」

「けど?」


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