トマトときゅうり
「―――――――はいっ!?」
声に出してから、やっと認識した。
私が・・・・何!????
「――――――う、嘘っ!!そんなの信じられない!その人真っ赤になって、うろたえてるじゃない!」
「マジですか!?本当なの、瀬川さん」
青山さんと長谷寺さん二人の声が重なる。
ついでに二人の視線も私に突き刺さっていた。ざくざくと激しく。
きゅうりは二人を交互にみて、営業スマイルのまま続けた。
「本当ですよ。彼女は赤面症でね、ちょっとしたことにすぐ照れるんです」
展開が速くて一人ついていけてない私は、あんぐりと口が開いたままだった。そしてそのパニくった頭のままきゅうりのコートをぐいぐいと引っ張る。
「・・・あのー、楠本さ・・・」
きゅうりの手がするりと腰にまわってきて、ぐいっと引っ張られた。
・・・はい?
引き寄せられて、私はきゅうりの腕の中。
そしてヤツは私の耳元に唇を寄せ、低い声でぼそりと呟いた。
「・・・黙ってろ。ここでキスされたくなけりゃな」
――――――――な。
ななななな!???