トマトときゅうり
切れ長の黒目を細めて、きゅうりが斜め上から見下ろしてくる。
イルミネーションの明りに照らされて、その黒い瞳が細く光って見えた。
「・・・さっき青山が、混乱させて済まなかったって、言ってたよな?――――色々ごめんって」
「え?ああ、はい」
いきなり振られた話題に頭がうまく付いていかず、私は少しばかり混乱しながら頷いた。
「で、お前は、こちらこそごめんなさい、でも嬉しかった、と言った」
「・・・・・はい。言いましたね」
だから、何なのよ?そう思って顔を上げたら、バッチリと目が合ってしまった。
きゅうりはその美しい顔に氷のような冷気を漂わせて見下ろす。
「青山と、何があったんだ?」
――――――――――――ぎゃあ(泣)
全身に、いきなり汗が噴出した。
体の横で思わず拳を握り締める。
何でそんな細かいことまで聞き覚えてるのよ、この男は!??
普通、スルーでしょう、そこは・・・。
強烈な視線を感じて逃げ腰になる。
・・・・怖っ・・。