トマトときゅうり
私の目からは涙が溢れ、丸い玉となって転がり落ちる。
涙で霞んだ視界で、ゆっくりときゅうりを振り返った。
きゅうりは驚いた顔で凍り付いていた。
「瀬川・・・?」
「・・・・もう・・・」
声を出すと、嗚咽が出てきそうになる。口元を両手で押さえた。
きゅうりの前では笑うと決めたのに。
そんなこと、もう出来そうもない。
「・・・もう、私で・・・遊ばないで」
いつものように、顔は真っ赤だっただろう。しかも涙をガンガン流していて、唇も腫れてる上にマスカラも全部流れていたハズ。
世にも酷い顔で、私は車を飛び出した。
後ろできゅうりが何か叫んでいたけど、聞こえるのは自分が漏らす嗚咽と早い鼓動だけ。
凄い勢いで階段を上る。
廊下を疾走して―――――――――――
私の避難所、部屋へ逃げ込んだ。