トマトときゅうり
きゅうりが笑って見下ろしていた。
「あっ・・・すみません、お疲れ様です」
パッと手を引いて後ろに下がる。
途端に、きゅうりが機嫌悪そうな顔をした。
「・・・・なんだよ。俺じゃ嫌だって態度だな」
眉間にしわがよっている。黒い瞳が薄められて、なまじ顔が整っているだけに、凄みが増した。
私は慌てて両手をバタバタと顔の前で交差させた。
「いえいえ、そんなことないです・・・」
ううう・・・こわーい・・・。ここは、早く退散しなきゃ・・・。
腰をかがめて、散らばってしまった封筒を集めだす。
「・・・これからコンビ二か?」
一緒になって集めてくれながら、きゅうりが聞く。
「・・・はい、仲間さんのおつかいです」
「4時前に出す辺りが、あいつらしいな」
ふっと笑ってきゅうりが話す。
ははは・・・と引きつった笑い声を出してしまった。
バレてる・・・締め切りの時間にいたくないの。そして、仲間さんの優しさも。
あいつらしいなって言葉にちょっと羨ましさを感じた。
・・・仲間さんのことはそんなに優しく話すんだ・・・。ちぇっ。