トマトときゅうり


「あ、ところで、青山さんどうだったんですか?!私ずっと気になって・・」

 立ち上がって、集めた封筒を渡してくれながら、きゅうりが破顔した。

「取れたよ、契約」

「え!!!本当ですか!?」

「ああ、それも2件だ。主力商品も入れてな」

 えええええーーー!??

 うわあ、それは凄い!会社が強力に推進する主力商品まで売れたとなれば、もうこれ以上望めないくらいに完璧じゃない!!

 私は一気に興奮した。ここが会社の1階、声の響くエレベーターホールであることをすっかり忘れてはしゃいだ声を上げる。

「凄い凄い!!良かった~青山さん、本当良かった~!」

 手を叩いて喜ぶ私をみて、きゅうりはちょっと真顔になった。

「ん?どうしました?」

「・・・いや。そうそう、しかも、お前が教えてくれた長谷寺様だ」

「えええー!!!」

 また叫ぶ私に、目の前のきゅうりは目元を細めて綺麗に笑う。

「娘さんは1週間前に帰国されてた。それで父親と一緒に話を聞いてくれた上、今日決めますと主力に入ってくれたんだ。長谷寺様は、個人年金をかけてくれることになった」

「うわあ~!タイミングよかったんですね!」

「そう。これも皆、トマトのお陰」


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