トマトときゅうり


「ははは、すまん」

 爽やかに笑うこの男、本当に腹が立つったら!

「もう、コーヒー飲んだのなら自席に戻ったらいかがですか!」

 ぷりぷりする私の横に手を伸ばして、きゅうりがドアを閉めた。バタンと音がして、私は紅茶の缶を手に振り返る。

「え・・・?」

 目の前にはきゅうりの胸元。彼がその大きな手を伸ばした。

 トン、と音を立てて、私の背をドアにつける。

 両手をドアにあてて、私を挟み込む格好になった。

 ただ目を見開いて、きゅうりを見る。

 ええーっと・・?・・・・これは・・・何がどうなって・・・。

「・・・・俺と付き合えよ」


 はい?


 今、何か聞こえた??


 黒くて切れ長の瞳に私がうつっている。

 よく考えたら凄く至近距離なんだ。頭の隅でそんなことを思った。

 っていうか、ちょっと待って。あれ?

 この・・・

 今の・・・・

 この状況は・・・。



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