トマトときゅうり


 日曜日だった。


 寝付けないまま朝を迎えて、9時半までは布団でうだうだしていたけど、仕方ないなと観念した起きた。


「・・・すっごいいい天気なんですけど・・・」

 カーテン越しに差し込む光はまだ夏の名残がある。きらきらと揺れて、私の小さな部屋にも光を撒き散らす。もう11月に入るっていうのに、今年は気温も高かった。

「・・・うー・・・」


 金曜日の給湯室。

 目の前のきゅうりの顔。

 男の人に迫られるって、あんな感じなんだ・・・。

 結局はいつものように私をからかっただけで出て行ったあの男。

 冗談って笑って。

 私は何とか正気に戻って、やかんの火を止めたんだった。


 お茶をしててもぼーっとしていた。他の人の話し声が全然耳に入ってこなかった。

 そしてあれからきゅうりには会えず、そのまま週末に入った。

 アポがある営業は出勤してる人もいるだろうが、事務の、しかもアルバイトの私は土日祝日がお休み。


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