トマトときゅうり
洗濯終了のアラーム音が鳴っている。
私はゆっくり目を開けた。手で顔の上に乗せた雑誌を取る。
静かなコインランドリー。
ガラス戸越しに入ってくる光に埃がキラキラ光りながら舞っている。
目を開けると同時に、涙がこぼれた。
視界が曇り、周りの世界はただ、ぼんやりと明るいだけの一場面になる。
じっとりと汗ばんだまま、体を起こせずにそのままじっとしていた。
「・・・・・痛い・・・・」
心が。
チクチクと痛んで、悲鳴をあげていた。
夢の中のことで。
夢の中のことなのに。
私は傷ついて、泣いている。
「・・・・あーあ」
掠れた声が出た。