トマトときゅうり
青山さんが鞄を持ち直して言う。
実は、ちょっと困惑した。大井さんはじめ、また色んな人に冷やかされるのは面倒くさい・・・。でもこの時間から帰って何か作る気力も、確かにない。しかししかし、月の中ごろ、財布の中身を考えれば気軽に外食出来る身分でもない・・・うううーん。
黙って突っ立っていたから、嫌がっていると解釈されたらしい。
「・・あ・・ごめん、別に無理にでは・・」
青山さんの申し訳なさそうな表情を見て、つい、言ってしまった。
「あ、いえいえ、勿論ご一緒させていただきます」
「え、いいの?」
ぱっと嬉しそうな顔になったところで、沈黙時間に考えてた折衝案を、一応提案してみることにした。
「ご一緒するんですが・・・マクドナルドでも、いいですか?」
一瞬ぽかんとした表情をして、それから青山さんは笑って頷いた。
「勿論オッケーだよ」
駅前のマクドナルド。
9時過ぎともなれば、そんなに混雑もしていない。
財布の中身と、誤解も立ちにくい場所であろうと判断してマクドナルドに誘ったが、青山さんは嫌がりもせず、笑って快諾してくれた。良かった~、いい人だ。
それぞれの食べ物を持って、席に座る。
「・・瀬川さんて、ファーストフード好きなの?」