トマトときゅうり


「・・・何ですか、これ?」

「だから、アンケート。これで意中の人の情報をゲットしたいわけよ」

 水野さんはウィンクをして、両手を合わせた。

「ね、お願い。時間ある時でいいから、楠本さんに聞いてみてくれない?書き込むのは瀬川さんでいいからさ」

 ・・・・うーん。

 今の、私ときゅうりの状態で、それはものすごーくハードルが高いんですけど。・・・困った。

「・・・・確約は出来ないよ?」

「うんうん、無理にとは言わないし、出来るだけでいいから!」

 水野さんは手を叩いて喜んだ。

 複雑な気分でアンケート用紙を見る。

 ・・・まあ、確かに、この情報は私も知りたい・・・けど。

 その時、大会が終了しました、とお呼びが来た。水野さんはもう一度、お願いね、と私に言って、手を振っていってしまった。

 ため息をついてアンケートを鞄にしまう。

 とにかく、私も霧島部長を探さなくちゃ。 ざわざわとうるさいホテルの宴会場の前のロビーで、私は人ごみをかきわけて霧島部長のもとに行こうと努力をしていた。

「・・・うー・・・」

 進まない。


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