トマトときゅうり
・・・そうなんだ。初参加だから私には判らなかったのかな。かなり豪華で広いなあと思ったんだけど。
腕をふったり首をまわしたりするきゅうりを見ないようにして、私も車から降りる。
風が吹いて髪を揺らす。思わず目を閉じた。
これからきゅうりとご飯。
・・・あまり考えないようにしよう。
ここはお店で、別に二人っきりってわけじゃない。職場の同僚と成り行き上お昼を食べて、別れる。よし、これを言い聞かせよう。職場の同僚と成り行き上・・・
「どうぞ」
声が聞こえて目を上げると、きゅうりがドアを開けて待ってくれていた。急いで追いついて、小さくお礼を言ってドアを通り抜ける。
パーキングは空いていたのに、店内は混雑していた。窓際のカウンター席しかありませんが、と言われて案内される。
向かい合って座ってしまったら、視線をどこにむけていいか判らなくなる。外の景色を見ながらならご飯もちゃんと食べれそうと、内心ホッとしていた。
あくまでも、同僚と成り行き上・・・・・
「・・・さっきから、何ぶつぶつ言ってんだ?」
「あ、いえいえ、気にしないでください」
きゅうりは変な顔をして私をみていたけど、さらっと無視してメニューを広げる。
注文を済ませてから(やつの決断は早すぎて、ここでも更なる情報処理能力の差にショックを受けるハメになった)、きゅうりに断ってお手洗いに立った。